会意(会意文字)とは
会意(かいい)とは、すでにある二つ以上の文字を組み合わせ、それぞれの字の意味を合成して新しい意味を表す方法です。この方法によって作られた文字を会意文字といい、漢字を分類する伝統的な枠組み「六書(りくしょ)」のひとつに数えられます。
会意の意味
象形や指事が、一つの字を単独で作り出す方法であるのに対し、会意はすでにある字を組み合わせて新しい字を作る方法です。組み合わせる字それぞれの意味を足し合わせ、そこから一つのまとまった意味を生み出します。
たとえば「休」は「人」と「木」を組み合わせ、人が木のそばで休んでいる様子を表しています。「明」は「日」と「月」を並べて明るさを、「林」は「木」を二つ並べて木立を表します。いずれも、部品の意味どうしの関係から全体の意味が導かれている点が特徴です。
代表的な会意文字の例
会意文字は、同じ字を重ねたものや、異なる字を組み合わせたものなどに分けられます。代表的な例を挙げると次のとおりです。
| 組み合わせ方 | 漢字 | 意味の成り立ち |
|---|---|---|
| 同じ字を重ねる | 林・森・炎 多・品 |
「木」を二つで林、三つで森。「火」を重ねて炎、「夕」を重ねて多、「口」を三つで品 |
| 異なる字を組み合わせる | 休・明・信 鳴・好 |
人+木で休、日+月で明、人+言で信、口+鳥で鳴、女+子で好 |
| 動作・様子を表す | 武・看・采 | 戈+止で武、手+目で看(手をかざして見る)、爪+木で采(手で木の実をとる) |
会意文字の特徴
会意文字には、ほかの分類と比べて次のような特徴があります。
- 意味どうしを組み合わせて作る:会意文字は、部品となる字の意味だけを利用して作られます。音を表す部品を含まない点が、形声文字との大きな違いです。
- 字の成り立ちを推測しやすい:「人+木=休」のように、部品の意味から全体の意味を読み取りやすく、漢字の由来を考える楽しさを味わいやすい分類です。
- 日本で作られた漢字(国字)に多い:日本で独自に作られた漢字には、会意の方法で作られたものが多く見られます。
形声文字との見分け方
会意ともっとも混同されやすいのが形声です。どちらも「二つ以上の部品を組み合わせて作る」点は共通していますが、組み合わせる部品の役割が異なります。
| 観点 | 会意 | 形声 |
|---|---|---|
| 部品の役割 | すべての部品が意味を担う | 意味を担う部品(意符)と音を担う部品(音符)からなる |
| 音との関係 | 部品が字の読みを直接表すことはない | 音符が字の読みの手がかりになる |
| 例 | 休・林・明・信 | 清・晴・銅・河 |
見分けのポイント組み合わさった部品のうち、一つが字の読みに対応していれば形声、すべてが意味に関わっていれば会意と考えると整理しやすくなります。たとえば「晴」は右側の「青」が読み「セイ」を表すため形声ですが、「明」は「日」も「月」も読みではなく明るさという意味に関わっているため会意です。なお、部品が意味と音の両方を兼ねている字(亦声字とも呼ばれます)もあり、会意と形声の境界はかならずしも明確ではありません。
会意と国字の関わり
日本で独自に作られた漢字を国字(こくじ)といいます。国字の多くは、中国から伝わった漢字を部品として組み合わせた会意の方法で作られています。
| 国字 | 組み合わせ | 意味 |
|---|---|---|
| 峠 | 山+上+下 | 山を登りつめて下りはじめる場所 |
| 働 | 人+動 | 人が動いてはたらくこと |
| 畑 | 火+田 | 焼いて作る、水を張らない耕地 |
| 辻 | 辶+十 | 道が十字に交わるところ |
国字は中国にはない漢字のため、基本的に音読みを持たず訓読みだけのものが多いという特徴があります(「働」のように後から音読みが与えられた例もあります)。会意の考え方は、日本人が新しく漢字を生み出す際にも活用されたといえます。
会意と他の分類との関係
会意文字は、象形文字や指事文字を組み合わせて作られ、さらに会意文字自体がほかの字の部品にもなります。六書のほかの分類と会意との関係を整理すると、次のとおりです。
| 分類 | 会意との関係 |
|---|---|
| 象形 | 会意文字を組み立てる部品の多くは象形文字。例:「休」を作る「人」「木」はいずれも象形。 |
| 指事 | 指事文字も会意文字の構成要素になることがある。 |
| 形声 | 部品の組み合わせで作る点は共通するが、形声は音を担う部品を含む。境界があいまいな字もある。 |
補足会意文字は、現在の字形だけを見ても、どの字とどの字が組み合わさっているか分かりにくいものがあります。「武」は「戈(ほこ)」と「止(あし)」、「采」は「爪(つめ・て)」と「木」というように、古い字形や字源をたどってはじめて成り立ちが見えてくる字も少なくありません。
