「わかれる」の使い分け(分かれる・別れる)
同じ「わかれる」と読む漢字には、分かれる・別れるの二つがあります。それぞれ意味によって書き分けられ、一つのものが複数に分かれる「分かれる」、人と離れる「別れる」と整理されます。書き分けの基準が比較的はっきりしているため、コツをつかめば迷うことが少ない組み合わせです。このページでは、文化庁の使い分け例にもとづきながら、それぞれの意味と例文をくわしく見ていきます。
「わかれる」の書き分け ―結論
分かれる = 一つのものが複数に分かれる(道が分かれる・意見が分かれる)
別れる = 人と離れる・関係が終わる(友人と別れる・恋人と別れる)
「わかれる」の書き分けの基本は、「物事が複数に分かれるのか」「人と離れるのか」で判断するのが基本です。「分かれる」は一つのものが二つ以上に分岐するイメージ、「別れる」は人と人とが離れるイメージと覚えると分かりやすくなります。
一覧で見る使い分け
二つの「わかれる」を、意味と典型的な使い方で比べると次のようになります。
| 漢字 | 意味の中心 | 典型的な使い方 |
|---|---|---|
| 分かれる | 一つのものが複数に分かれる | 道が分かれる 意見が分かれる 勝敗が分かれる |
| 別れる | 人と離れる・関係が終わる | 友人と別れる 恋人と別れる 家族と別れる |
以下では、それぞれの漢字をくわしく見ていきます。
分かれるわかれる
分かれるは、一つのものが二つ以上に分かれる・区別される場合に使う字です。漢字「分」には「わける」「わかれる」「区別する」の意味があり、「分岐」「分割」「分類」「区分」などの熟語からも、その性格がうかがえます。物・道・意見・結果などが複数のグループや方向に分かれる場面で使う字です。
主な意味と用法
- 道や枝が複数に分かれる:道が分かれる/川が分かれる/枝が分かれる
- グループや種類に分かれる:チームが分かれる/クラスが分かれる/組に分かれる
- 意見・見方が異なる:意見が分かれる/評価が分かれる/賛否が分かれる
- 結果がはっきり違う:勝敗が分かれる/明暗が分かれる/運命が分かれる
例文
- この先で道が二つに分かれる。
- その提案については賛否が分かれる結果となった。
- 最後の一打で勝敗が分かれた。
別れるわかれる
別れるは、人と人が離れる・関係が終わる場合に使う字です。漢字「別」には「わかれる」「べつ」「区別する」の意味があり、「別離」「告別」「離別」「決別」などの熟語からも、その性格がうかがえます。人どうしが離れる場面・関係の終わりを表す字です。
主な意味と用法
- その場で人と離れる:駅で友人と別れる/改札口で別れる
- 関係が終わる:恋人と別れる/妻と別れる/パートナーと別れる
- 死別する:家族と別れる(死別の意味で)/父と別れる
- あいさつをしてその場を離れる:お別れを告げる/涙のお別れ
例文
- 駅前で友人と別れて、それぞれの帰路についた。
- 長く付き合っていた恋人と、先月別れたそうだ。
- 幼いころに父と別れて、母方の祖父母に育てられた。
ご注意「別れる」は人が対象のときに使う字です。物や道・意見など人以外のものが対象の場合は「分かれる」を使います。「道が別れる」「意見が別れる」とは書きません。
迷いやすいケース
「わかれる」の使い分けで、特に判断に迷いやすいケースを取り上げます。
「人とわかれる」は「別れる」
友人・恋人・家族など、人と離れる場面では、ふつう「別れる」を使います。一時的にその場で離れる場合も、関係が終わる場合も、対象が人であれば基本的に「別れる」です。
| 場面 | 例 |
|---|---|
| その場で離れる | 駅で別れる 改札口で別れる |
| 関係が終わる | 恋人と別れる 夫と別れる |
| 死別 | 父と別れる 幼くして母と別れる |
「意見がわかれる」「賛否がわかれる」は「分かれる」
意見・評価・賛否などが複数のグループに分かれる場合は、「分かれる」を使います。「意見が分かれる」「賛否が分かれる」「評価が分かれる」「見方が分かれる」など、考え方が複数の立場に分かれる場面で用いられます。
「わかれ道」は「分かれ道」「別れ道」両方ある
「わかれ道」は、物理的な意味と比喩的な意味で書き分けが変わります。道が二つに分岐する場所は「分かれ道」、人と別れる場所・人生の岐路を表すときは「別れ道」とも書きます。
| 表記 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 分かれ道 | 道が分岐する場所/物事の選択 | 三叉路の分かれ道 人生の分かれ道 |
| 別れ道 | 人と別れる場所 | 駅前の別れ道 ここがお別れの分かれ道 |
現代の文章では、人生の岐路の意味でも「分かれ道」と書くことが多くなっています。「別れ道」は人との別れを強調したいときに選ばれる、やや文学的な表記です。
「わかれ目」は「分かれ目」
勝敗や運命の分岐点を表す「わかれめ」は、ふつう「分かれ目」と書きます。「勝敗の分かれ目」「人生の分かれ目」「成功の分かれ目」など、物事の結果が二つに分かれるところを示す慣用表現です。
対応する動詞「わける」も同じ書き分け
「わかれる」の対応形である動詞「わける」は、ふつう「分ける」と書きます。物を区分する、グループに分ける、判断する、などの広い意味で「分ける」が使われます。
| 動詞 | 例 |
|---|---|
| 分ける | グループに分ける ケーキを分ける 勝負を分ける |
| 分かれる (自動詞) |
道が分かれる 意見が分かれる |
| 別れる (自動詞) |
人と別れる 恋人と別れる |
ご注意「別ける」という表記は、現代の標準的な書き方ではほとんど使われません。「わける」と読む動詞は、原則として「分ける」を使います。「別」は「別れる」のように、人と離れる意味の自動詞の場面で使うのが基本です。
補足このページの使い分けは、文化庁「異字同訓」の漢字の使い分け例を参考にした標準的な目安です。「分かれる」「別れる」は意味の境界が比較的はっきりしているため、「複数に分岐するのか」「人と離れるのか」を意識すれば、迷うことなく書き分けられます。
■ まとめ
「わかれる」と読む漢字には、分かれる・別れるの二つがあります。「分かれる」は一つのものが複数に分かれる場合、「別れる」は人と離れる・関係が終わる場合に使います。「道が分かれる」「友人と別れる」を覚えれば、基本の使い分けはつかめます。
「わかれ道」のように両方の書き方がある慣用表現もありますが、迷ったときは「人が対象なら別れる、それ以外は分かれる」と整理しておけば、ほとんどの場面で対応できます。他の同訓異字については同訓異字(異字同訓)とはのページに一覧があります。
