重箱読みと湯桶読みとは?違いと例

漢字二字の熟語の多くは、「音読み+音読み」または「訓読み+訓読み」で読まれます。しかし中には、音読みと訓読みが混ざって読まれる熟語もあります。その混ざり方には重箱読み(じゅうばこよみ)湯桶読み(ゆとうよみ)という二つの名前がついています。このページでは、両者の違いと豊富な例を、それぞれの言葉の由来や面白い読み方も交えて解説します。

重箱読みと湯桶読みの違い

結論

重箱読みは、上の字を音読み・下の字を訓読みする熟語の読み方です(音+訓)。湯桶読みは、上の字を訓読み・下の字を音読みする熟語の読み方です(訓+音)。

名前そのものが読み方の見本になっており、「重箱」が「ジュウ(音)+ばこ(訓)」、「湯桶」が「ゆ(訓)+トウ(音)」と読むことが、それぞれの名称の由来です。

二字熟語の読み方は、おおきく次の四つに整理できます。

読み方 組み合わせ
音読み+音読み もっとも一般的な熟語の読み方 学校(ガッコウ)
読書(ドクショ)
森林(シンリン)
訓読み+訓読み 和語どうしを組み合わせた読み方 青空(あおぞら)
手紙(てがみ)
長袖(ながそで)
重箱読み(音+訓) 上が音読み・下が訓読み 重箱(ジュウ・ばこ)
台所(ダイ・どころ)
本屋(ホン・や)
湯桶読み(訓+音) 上が訓読み・下が音読み 湯桶(ゆ・トウ)
場所(ば・ショ)
見本(み・ホン)

覚え方のコツ「重箱読み」「湯桶読み」という名前自体が、その読み方の見本になっています。「(ジュウ)」と「(ゆ)」がそれぞれ最初の字なので、最初の字の読み方が音か訓かを見れば、どちらの読み方かがすぐにわかります。

音読み・訓読みそのものについては、音読みと訓読みとはのページもあわせてご覧ください。以下では、重箱読み湯桶読みのそれぞれを、例を豊富に挙げながら見ていきます。

重箱読みとは?

重箱読みの定義

重箱読みとは、二字熟語の上の字を音読み、下の字を訓読みで読む読み方です。「重箱」を「ジュウ(音)+ばこ(訓)」と読むことから、この名前がついています。なお「重箱」とは、お節料理や行楽に使われる、何段かを積み重ねられるようにした食物を入れる箱のことです。

重箱読みの例

重箱読みの熟語には、日常的に使われるものも数多くあります。代表的な例を挙げると次のとおりです。

熟語 読み 音+訓の構成
重箱 ジュウばこ ジュウ(音)+ばこ(訓)
台所 ダイどころ ダイ(音)+どころ(訓)
本屋 ホンや ホン(音)+や(訓)
本棚 ホンだな ホン(音)+だな(訓)
残高 ザンだか ザン(音)+だか(訓)
団子 ダンご ダン(音)+ご(訓)
番組 バンぐみ バン(音)+ぐみ(訓)
額縁 ガクぶち ガク(音)+ぶち(訓)
桟橋 サンばし サン(音)+ばし(訓)
役場 ヤクば ヤク(音)+ば(訓)
客間 キャクま キャク(音)+ま(訓)
味方 ミかた ミ(音)+かた(訓)
仕事 シごと シ(音)+ごと(訓)
毎年 マイとし マイ(音)+とし(訓)
縁組 エンぐみ エン(音)+ぐみ(訓)
献立 コンだて コン(音)+だて(訓)
派手 ハで ハ(音)+で(訓)
試合 シあい シ(音)+あい(訓)

このように、下の字(訓読みの部分)が「ばこ→だな」「くみ→ぐみ」のように濁音化する例が多く見られるのも、重箱読みの特徴のひとつです。

湯桶読みとは?

湯桶読みの定義

湯桶読みとは、二字熟語の上の字を訓読み、下の字を音読みで読む読み方です。「湯桶」を「ゆ(訓)+トウ(音)」と読むことから、この名前がついています。なお「湯桶」とは、湯や酒を注ぐための漆塗りの容器のことで、現在ではそば屋でそば湯を入れて出される、あの木製の容器がよく知られた例です。

湯桶読みの例

湯桶読みの熟語にも、日常的に使われるものが多くあります。代表的な例を挙げると次のとおりです。

熟語 読み 訓+音の構成
湯桶 ゆトウ ゆ(訓)+トウ(音)
場所 ばショ ば(訓)+ショ(音)
見本 みホン み(訓)+ホン(音)
手本 てホン て(訓)+ホン(音)
合図 あいズ あい(訓)+ズ(音)
朝晩 あさバン あさ(訓)+バン(音)
雨具 あまグ あま(訓)+グ(音)
豚肉 ぶたニク ぶた(訓)+ニク(音)
鶏肉 とりニク とり(訓)+ニク(音)
油絵 あぶらエ あぶら(訓)+エ(音)
夕刊 ゆうカン ゆう(訓)+カン(音)
株券 かぶケン かぶ(訓)+ケン(音)
敷金 しきキン しき(訓)+キン(音)
高台 たかダイ たか(訓)+ダイ(音)
梅酒 うめシュ うめ(訓)+シュ(音)
大勢 おおゼイ おお(訓)+ゼイ(音)
言分 いいブン いい(訓)+ブン(音)
身分 みブン み(訓)+ブン(音)

湯桶読みは、もともと日本語にあった和語に漢字をあてた語に、漢字由来の音読みの語が結びついて生まれることが多く、和語と漢語の混ざった語(混種語)として日本語に定着しています。

同音異義語を避けるために生まれた読み方

重箱読み・湯桶読みの中には、ほかの語との混同を避けるために、あえて変則的な読み方が広まったものがあります。本来は音読み+音読みで読む熟語ですが、まったく同じ音読みの別の語があるために、片方を訓読みで読み替えて区別するようになった例です。

熟語 変則的な読み 区別したい同音の語
化学 ばけガク(湯桶読み) 科学(カガク)
市立 いちリツ(湯桶読み) 私立(シリツ)
私立 わたくしリツ(湯桶読み) 市立(シリツ)
代替 ダイがえ(重箱読み) 「だいたい」が「大体」と紛らわしい
引数 ひきスウ(湯桶読み) 因数(インスウ)

たとえば「化学」は、本来「カガク」と読みますが、「科学(カガク)」とまったく同じ音になってしまいます。そこで会話などでの混同を避けるため、「ばけガク」と湯桶読みすることが慣用として定着しました。「市立」と「私立」も、どちらも「シリツ」と読むためにそれぞれ「いちリツ」「わたくしリツ」と読み分けられることがあります。このように、耳で聞いたときの聞き分けやすさのために、変則的な読みが受け入れられてきた背景が見て取れます。

重箱読み・湯桶読みは「変則的」だが珍しくない

重箱読み・湯桶読みは、もともと熟語の本来の読み方からすると変則的な読み方とされてきました。漢字の熟語は本来、音読みどうしを組み合わせるのが正しいあり方とされていたためです。

しかし現代の日本語では、これらの読み方の熟語は数えきれないほど多く、日常語として深く浸透しています。「気持(きモチ)」「縁組(エンぐみ)」「借家(シャクや)」など、改めて指摘されないと「変則的」とは感じないものも数多くあります。重箱読み・湯桶読みは、和語と漢語が長い時間をかけて混ざり合って生まれた、日本語らしい読み方のひとつといえます。

補足重箱読み・湯桶読みは、二字熟語に限らず、三字以上の熟語にも見られます。たとえば「消費税(ショウヒぜい)」「朝御飯(あさゴはん)」のように、構成全体としては音読みと訓読みが混ざった読み方がさまざまに存在します。また、人名や地名などの固有名詞は読み方が非常に多様で、重箱読み・湯桶読みの分類にはあてはめないのがふつうです。

■ まとめ
重箱読みは「音+訓」の読み方で、「重箱(ジュウばこ)」「台所(ダイどころ)」「本屋(ホンや)」などが代表例です。湯桶読みは「訓+音」の読み方で、「湯桶(ゆトウ)」「場所(ばショ)」「見本(みホン)」などがあります。名称そのものが読み方の見本になっており、最初の字の読み方を確認すればどちらかすぐにわかるのが特徴です。
「化学(ばけガク)」「市立(いちリツ)」のように、同音異義語を避けるために生まれた読み方もあり、変則的でありながらも日本語の中でしっかりと役割を担っています。音読み・訓読みそのものについては音読みと訓読みとはのページもあわせてご覧ください。

ページ先頭に戻る