部首とは

部首の一覧を確認したい方は、部首検索(部首一覧)をご覧ください。

部首(ぶしゅ)とは、漢字をその形によって分類・整理するために設けられた区分のことです。漢和辞典で漢字を引くときの見出しとして使われており、漢字の成り立ちや意味を理解する手がかりにもなっています。

部首の役割

漢字は数万字あると言われていますが、それらを共通する部分ごとにまとめることで、整理して扱いやすくしたものが部首です。たとえば「海・河・池・流」といった漢字には、いずれも「氵(さんずい)」という共通の部分が含まれています。このような共通の構成要素を抜き出し、漢字を分類するための代表として定めたものが部首です。

多くの場合、部首はその漢字の意味とも関わっています。「氵(さんずい)」が付く漢字は水に関係する意味を持つことが多く、「木」が付く漢字は植物や木材に関わる意味を持つことが多い、といった具合です。ただし、すべての漢字でこの関係が成り立つわけではない点には注意が必要です。

部首の位置による呼び方(七分類)

漢字を構成する部分は、その置かれている位置によって、おおむね次の七種類に分けて呼ばれます。

名称 位置
偏(へん) 漢字の左側にある部分 亻(にんべん)
氵(さんずい)
旁(つくり) 漢字の右側にある部分 刂(りっとう)
阝(おおざと)
冠(かんむり) 漢字の上にある部分 宀(うかんむり)
艹(くさかんむり)
脚(あし) 漢字の下にある部分 心(したごころ)
灬(れっか)
構(かまえ) 漢字を囲む部分 囗(くにがまえ)
門(もんがまえ)
垂(たれ) 上から左下にかけて垂れる部分 广(まだれ)
厂(がんだれ)
繞(にょう) 左から下にかけて続く部分 辶(しんにょう)
廴(えんにょう)

ご注意「偏・旁・冠・脚・構・垂・繞」は、厳密にはそれ自体が「部首」というわけではありません。

これらは「偏旁(へんぼう)」あるいは「偏旁冠脚(へんぼうかんきゃく)」と呼ばれるもので、漢字を構成する部分が「どの位置に置かれているか」を表す呼び名です。部首そのものと、部首が漢字の中で取る位置の呼び方とは、本来は区別されるべき概念です。(偏旁冠脚そのものについては、こちらのページでも詳しく解説しています。)

たとえば、部首「」が漢字の左側に置かれて「」のように形が少し変化したとき、これを「きへん(木偏)」と呼びますが、これは部首「木」が「偏」の位置にあるときの形の呼び名であって、「きへん」という独立した部首があるわけではありません。同じ部首「木」が漢字の下に置かれれば「き(木脚)」と呼ばれることもあります。

このように、「○○へん」「○○かんむり」といった呼び名は、部首が漢字内のどの位置に現れたかによって付けられた便宜的な名称であるとご理解ください。

部首分類の歴史 ―『説文解字』と『康煕字典』

部首によって漢字を分類するという考え方は、中国・後漢時代の許慎(きょしん)が著した『説文解字(せつもんかいじ)』にさかのぼります。説文解字では、約一万字の漢字が540の部首に分類されました。これが体系的な部首分類の出発点とされています。

その後、明の時代の『字彙(じい)』で部首が214種類に整理され、続いて清の時代に編まれた『康煕字典(こうきじてん)』もこの214部首を採用しました。康煕字典は中国・日本の漢字辞典に大きな影響を与え、現在の日本で使われている多くの漢和辞典も、この康煕字典の214部首をもとにして分類を行っています

ただし、辞典や時代によって採用する部首の数や分類のしかたには違いがあります。常用漢字や教育漢字を中心に扱う現代の辞書では、字形の変化や使いやすさを考慮して、康煕字典とは少し異なる部首立てや別名が用いられることもあります。

「形」と「異体字(親字)」による分類の違い

部首の分類は、基本的には漢字の「」を基準に行われます。しかし、考え方や参考にする文献によっては、現在の字形ではなく、その漢字の「異体字(いたいじ)」や「親字(おやじ)」をもとに分類している場合もあります。

たとえば、現在使われている字形だけを見ると別の部首に入りそうな漢字でも、その漢字のもとになった字形(字源)や、本来の親字に従って分類されているケースがあります。そのため、同じ漢字であっても、辞典によって異なる部首のもとに収められていることがあります。

このような違いは「どの辞典が正しい・間違い」ということではなく、何を基準に分類しているかの違いによるものです。漢和辞典で目的の漢字が見つからないときは、別の部首の候補からも探してみるとよいでしょう。

部首と「偏旁」の関係 ―もう一度整理

ここまでの内容を整理すると、次のようになります。

用語 意味
部首 漢字を分類・整理するために設けられた区分。漢和辞典の見出しとして使われる。
偏旁
(偏旁冠脚)
漢字を構成する部分が、漢字の中でどの位置にあるかを表す呼び名。「偏・旁・冠・脚・構・垂・繞」の七種にまとめられる。
○○へん
○○かんむり 等
ある部首が、特定の位置に置かれたときの形・呼び方。例:部首「木」が左側にきたときの「きへん」など。

■ まとめ
部首は、単に漢字を辞典で引くための見出しではなく、漢字の形・成り立ち・意味のつながりを理解するための大切な手がかりでもあります。
「偏」「旁」「冠」「脚」などの呼び名は、部首が漢字の中でどの位置に現れているかを示す名前であり、部首そのものとは少し異なる概念であることを覚えておくと、漢字をより正確に捉えることができます。
また、部首の分類は『説文解字』や『康煕字典』といった歴史ある書物に基づいており、現在の漢和辞典の多くは康煕字典の214部首を土台としつつ、それぞれの編集方針に応じて整理されています。

ページ先頭に戻る