「つとめる」の使い分け(勤める・努める・務める)

同訓異字の全体や他の書き分けは、同訓異字(異字同訓)とはのページをご覧ください。

同じ「つとめる」と読む漢字には、勤める・努める・務めるの三つがあります。それぞれ意味によって書き分けられ、会社などに勤務する「勤める」、努力する「努める」、役目や任務を受け持つ「務める」と整理されます。読みが同じうえに意味も近く、書き分けに迷いやすい代表的な「つとめる」です。このページでは、文化庁の使い分け例にもとづきながら、それぞれの意味と例文をくわしく見ていきます。

「つとめる」の書き分け ―結論

結論

勤める = 会社・役所などに勤務する(銀行に勤める・長年勤めた会社)

努める = 努力する・力をつくす(解決に努める・サービス向上に努める

務める = 役目・任務を受け持つ(議長を務める・主役を務める

分かりやすい目安は、それぞれの字を含む熟語で覚えることです。「勤める」は勤務・出勤の「勤」「努める」は努力の「努」「務める」は任務・職務の「務」。「会社にツトメル」なら「勤」、「努力する」なら「努」、「役目をはたす」なら「務」と整理すると迷いにくくなります。

一覧で見る使い分け

三つの「つとめる」を、意味と典型的な使い方で比べると次のようになります。

漢字 意味の中心 典型的な使い方
勤める 会社・役所などに勤務する 銀行に勤める
会社に勤める
努める 努力する・力をつくす 解決に努める
普及に努める
務める 役目・任務を受け持つ 議長を務める
主役を務める

以下では、それぞれの漢字をくわしく見ていきます。

勤めるつとめる

勤めるは、会社・役所・店などに勤務する場合に使う字です。漢字「勤」には「つとめる」「はたらく」の意味があり、「勤務」「出勤」「通勤」「勤続」などの熟語からも、その性格がうかがえます。職場に通って仕事をする、雇われて働く、というのが基本の意味です。

主な意味と用法

  • 会社・役所などに勤務する:銀行に勤める/市役所に勤める/会社に勤める
  • 長く勤務を続ける:同じ会社に三十年勤める/長年勤めた職場
  • 勤行(ごんぎょう)をする:朝の勤行を勤める/法事を勤める

例文

  • 父は定年まで同じ会社に勤めた。
  • 彼女は卒業後、地元の病院に勤めることになった。
  • 長年勤めた職場を、来月で退職する。

努めるつとめる

努めるは、ある目的のために努力する・力をつくす場合に使う字です。漢字「努」には「つとめる」「はげむ」の意味があり、「努力」という熟語に直結しています。「解決に努める」「向上に努める」のように、何かを成しとげようと骨を折る、というのが基本の意味です。

主な意味と用法

  • 目的のために努力する:解決に努める/普及に努める/改善に努める
  • 力をつくして取り組む:サービス向上に努める/早期発見に努める
  • 気持ちを保とうとつとめる:平静を保つよう努める/笑顔で努める

例文

  • 会社をあげて、顧客満足度の向上に努めている。
  • 事態の収拾に全力で努める
  • 動揺を見せまいと、平静を装うよう努めた。

ご注意「努める」は「努力」の「努」です。「~に努める」の形で、物事を成しとげようと力をつくす意味のときに使います。「平静を保つよう努める」のように、ある状態を保とうとがんばる場合にも用います。

務めるつとめる

務めるは、役目・任務・役割を受け持つ場合に使う字です。漢字「務」には「つとめ」「任務」の意味があり、「任務」「職務」「義務」「勤務」などの熟語と通じています。「議長を務める」「司会を務める」のように、ある立場や役割をはたす、というのが基本の意味です。

主な意味と用法

  • 役職・職務を受け持つ:議長を務める/社長を務める/会長を務める
  • 役割・役回りをはたす:司会を務める/主役を務める/親代わりを務める
  • 当番・当役をはたす:受付を務める/案内役を務める

例文

  • 今年の同窓会では、彼が幹事を務める
  • 結婚式で、恩師が祝辞を述べる役を務めた。
  • 主役を務めるのは、若手の俳優だ。

ご注意「務める」は「~を務める」の形で、役職や役割を目的語にとるのが典型です。「議長を務める」「司会を務める」のように、何の役目をはたすのかがはっきりしているのが特徴です。

迷いやすいケース

「つとめる」の使い分けで、特に判断に迷いやすいケースを取り上げます。

「勤める」と「務める」の使い分け

もっとも混同しやすいのが「勤める」と「務める」です。職場に勤務するのは「勤める」、役職や役割を受け持つのは「務める」です。「会社に勤める」は会社で働くこと、「社長を務める」は社長という役職をはたすことで、意味が異なります。「~に勤める/~を務める」と、助詞の違いで見分けるのも有効です。

場面 使う漢字
職場に勤務する(~に) 勤める 会社に勤める
銀行に勤める
役職・役目をはたす(~を) 務める 社長を務める
議長を務める

「会社で部長をつとめる」はどちらか

同じ会社のことを述べていても、注目している内容で字が変わります。その会社で働いていることをいうなら「会社に勤める」、部長という役職をはたしていることをいうなら「部長を務める」です。「A社に勤め、そこで部長を務める」のように、両方が一文に現れることもあります。

「努める」と「務める」の使い分け

「努める」と「務める」も読みが同じで紛らわしいですが、意味は明確に違います。努力するのが「努める」、役目をはたすのが「務める」です。「解決に努める(解決しようと努力する)」と「議長を務める(議長の役をはたす)」のように、努力なのか役割なのかで判断します。

場面 使う漢字
努力する・力をつくす 努める 解決に努める
改善に努める
役職・役割をはたす 務める 議長を務める
司会を務める

「平静をよそおうようつとめる」はどちらか

ある状態を保とうと努力する意味のときは「努める」を使い、「平静を保つよう努める」「冷静であろうと努める」と書きます。これは役目をはたすことではなく努力なので、「務める」ではなく「努」を選びます。

補足このページの使い分けは、文化庁「異字同訓」の漢字の使い分け例を参考にした標準的な目安です。「つとめる」は、まずそれぞれの字を含む熟語(勤務・努力・任務)を思い浮かべ、「職場で働く=勤」「努力する=努」「役目をはたす=務」と対応させると整理しやすくなります。助詞も手がかりになり、「~に勤める」「~を務める」という形が典型です。

■ まとめ
「つとめる」と読む漢字には、勤める・努める・務めるの三つがあります。勤めるは会社や役所などに勤務する字(勤務・出勤)、努めるは努力し力をつくす字(努力)、務めるは役目や任務を受け持つ字(任務・職務)です。
「職場で働く」なら「勤める」、「努力する」なら「努める」、「役目をはたす」なら「務める」、と熟語と結びつけて覚えると書き分けに迷う場面が大きく減ります。他の同訓異字については同訓異字(異字同訓)とはのページに一覧があります。

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