「つくる」の使い分け(作る・造る・創る)
同じ「つくる」と読む漢字には、作る・造る・創るの三つがあります。それぞれ意味によって書き分けられ、もっとも一般的な「作る」、船や建物など規模の大きいものに使う「造る」、新しいものを生み出すときに使う「創る」と整理されます。このページでは、文化庁の使い分け例にもとづきながら、それぞれの意味と例文をくわしく見ていきます。
「つくる」の書き分け ―結論
作る = もっとも一般的な「つくる」(料理を作る・俳句を作る)
造る = 大規模なものや醸造品をつくる(船を造る・酒を造る)
創る = 新しいものを生み出す(新文化を創る・世界を創る)
どれを使えばよいか迷ったときは、まず「作る」がもっとも広く使える基本の字と覚えておくと安心です。「造る」は規模が大きいもの、「創る」はゼロから新しく生み出すニュアンスがあるときに選ばれる字です。
一覧で見る使い分け
三つの「つくる」を、意味と典型的な使い方で比べると次のようになります。
| 漢字 | 意味の中心 | 典型的な使い方 |
|---|---|---|
| 作る | 一般的につくる | 料理を作る 俳句を作る 規則を作る |
| 造る | 大規模なもの・醸造品をつくる | 船を造る 橋を造る 酒を造る |
| 創る | 新しいものを生み出す | 新文化を創る 新しい時代を創る |
以下では、それぞれの漢字をくわしく見ていきます。
作るつくる
作るは、「つくる」の中でもっとも基本的で、用例の広い字です。料理・文章・規則・農作物など、比較的小さなものや形のないものを含め、広くつくる場合に使われます。「造る」「創る」のどちらに当てはまるか迷うときも、まず「作る」を選んでおけば多くの場面で通用します。
主な意味と用法
- 食べ物・飲み物をつくる:料理を作る/パンを作る/弁当を作る
- 文章・作品をつくる:俳句を作る/小説を作る/曲を作る
- 規則・制度をつくる:ルールを作る/法律を作る/計画を作る
- 農作物をつくる:米を作る/野菜を作る/畑を作る
- 表情・雰囲気をつくる:笑顔を作る/場の雰囲気を作る
例文
- 週末に家族のために手料理を作る。
- 会社のルールを一から作り直した。
- 彼は暇さえあれば詩を作る。
造るつくる
造るは、船・橋・建物など規模の大きいものをつくる場合や、酒・醤油などの醸造品をつくる場合に使う字です。漢字「造」には「つくる」「おこなう」の意味があり、「建造」「造船」「製造」「醸造」「造園」などの熟語からも、その性格がうかがえます。
主な意味と用法
- 大型のものをつくる:船を造る/橋を造る/ダムを造る/庭を造る
- 醸造品をつくる:酒を造る/ビールを造る/醤油を造る/味噌を造る
- まちや施設をつくる:新しい町を造る/港を造る
例文
- その造船所では大型タンカーを造る。
- この蔵元は江戸時代から酒を造り続けている。
- 山を切り開いて新しい住宅地を造る。
ご注意「造る」は規模や素材が目安になりますが、厳密な境界があるわけではありません。小さな模型を「造る」と書いたり、大きな建物を「作る」と書いたりしても、誤りとは言い切れない場合もあります。「船・橋・ダム・酒・醤油」のように、「造」を含む熟語で表せるものはこちらを使う、という目安で判断するとよいでしょう。
創るつくる
創るは、それまでになかった新しいものを初めて生み出す場合に使う字です。漢字「創」には「はじめてつくる」「きずつける(創傷の創)」の意味があり、「創業」「創設」「創造」「創作」などの熟語からも、ゼロから生み出す・始めるというニュアンスがうかがえます。文化・時代・組織・概念など、形のないものを新たに生み出す場面で選ばれることが多い字です。
主な意味と用法
- 文化・時代などを新しく生み出す:新しい文化を創る/新しい時代を創る
- 組織・仕組みを初めて立ち上げる:会社を創る(創業の意味を強調)/新しい仕組みを創る
- 芸術・作品を独自に生み出す:世界観を創る/独自のスタイルを創る
例文
- 彼らは新しい音楽ジャンルを創った先駆者だ。
- 次の世代のために、より良い社会を創ることが私たちの使命だ。
- この会社は、一人の起業家が何もないところから創ったものだ。
ご注意「創る」は「新しく生み出す」という意味を強調したいときに選ばれる字で、文化庁の使い分け例でも、一般的な場面では「作る」を使うことが示されています。「創る」を使うことで、単なる制作・製造ではなく創造的・独創的なニュアンスが加わります。日常的な場面で「創る」を多用すると、かえって意味が薄れてしまうこともあるため、ここぞというときに選ぶ字といえます。
迷いやすいケース
「つくる」の使い分けで、特に判断に迷いやすいケースを取り上げます。
「料理をつくる」は「作る」か「造る」か
料理・お菓子・パンなど、食べ物をつくる場合は「作る」を使います。「造る」は酒・醤油・味噌など醸造・発酵を伴うものに使われることが多く、ふつうの調理には「作る」が自然です。
| 場面 | 使う漢字 | 例 |
|---|---|---|
| 調理・製菓 | 作る | 料理を作る ケーキを作る |
| 醸造・発酵を伴うもの | 造る | 酒を造る 醤油を造る |
「会社をつくる」は「作る」か「創る」か
「会社をつくる」場合、「作る」でも「創る」でも書ける場面ですが、ニュアンスが変わります。起業・創業の意味を強調したいなら「創る」、ふつうに設立するという意味なら「作る」が自然です。また「起業する」「設立する」と書き換えると書き分けの迷いがなくなります。
| ニュアンス | 使う漢字 | 例 |
|---|---|---|
| 一般的に設立する | 作る | グループを作る 部署を作る |
| ゼロから創業・創造する | 創る | 新会社を創る ブランドを創る |
「歌をつくる」「詩をつくる」は「作る」か「創る」か
文化庁の使い分け例では、歌・詩・小説・曲などの作品をつくる場合は「作る」を使うことが示されています。「創る」は「まったく新しい表現を生み出す」という強い創造性を強調するときに限られます。「歌を作る」「詩を作る」がふつうの表現です。
「つくる」のどれを使っても大差ない場合
「作る」「造る」は意味が重なる部分が広く、どちらを書いても誤りではない場面も多くあります。文化庁の使い分け例でも、「作る」を一般的な基本字として示し、「造る」「創る」はそれぞれ特定の文脈での使用が示されています。迷ったときは「作る」を選んでおけば、ほとんどの場面で問題ありません。
補足このページの使い分けは、文化庁「異字同訓」の漢字の使い分け例を参考にした標準的な目安です。「つくる」の書き分けは、「造る」「創る」はそれぞれ明確な意味のある場面にのみ使い、それ以外は「作る」を選ぶ、という考え方が実用的です。関連する熟語(作品・作物・作業/建造・造船・醸造/創業・創造・創作)を思い浮かべると、選びやすくなります。
■ まとめ
「つくる」と読む漢字には、作る・造る・創るの三つがあります。もっとも一般的なのは「作る」で、迷ったときの基本の選択になります。「造る」は船・橋・酒など規模の大きいものや醸造品に、「創る」はゼロから新しいものを生み出すニュアンスを強調したいときに選ぶ字です。
「造る」「創る」はそれぞれ明確な意味がある場面で使い、それ以外はすべて「作る」で通用する、と覚えておくと書き分けに迷う場面が大幅に減ります。他の同訓異字については同訓異字(異字同訓)とはのページに一覧があります。
