「しめる」の使い分け(締める・閉める・絞める)

同訓異字の全体や他の書き分けは、同訓異字(異字同訓)とはのページをご覧ください。

同じ「しめる」と読む漢字には、締める・閉める・絞めるの三つがあります。それぞれ意味によって書き分けられ、ゆるみなくかたく固定する「締める」、開いているものを閉じる「閉める」、首や喉などをきつく圧迫する「絞める」と整理されます。日常でもっともよく使われる「締める」と「閉める」は特に混同しやすく、書き分けに迷いやすい代表的な「しめる」です。このページでは、文化庁の使い分け例にもとづきながら、それぞれの意味と例文をくわしく見ていきます。

「しめる」の書き分け ―結論

結論

締める = ゆるみなくかたく固定する・引き締める(ネクタイを締める・ネジを締める)

閉める = 開いているものを閉じる(ドアを閉める・窓を閉める)

絞める = 首・喉などをきつく圧迫する(首を絞める・喉を絞める)

分かりやすい目安は、それぞれの字を含む熟語で覚えることです。「締める」は締結・引き締めの「締」、「閉める」は閉鎖・閉幕の「閉」、「絞める」は絞殺・首絞めの「絞」。「かたく固定する」なら「締」、「開口部を閉じる」なら「閉」、「首などを圧迫する」なら「絞」と整理すると迷いにくくなります。

一覧で見る使い分け

三つの「しめる」を、意味と典型的な使い方で比べると次のようになります。

漢字 意味の中心 典型的な使い方
締める ゆるみなくかたく固定する・引き締める ネクタイを締める
ネジを締める
気を締める
閉める 開いているものを閉じる ドアを閉める
窓を閉める
店を閉める
絞める 首・喉などをきつく圧迫する 首を絞める
喉を絞める

以下では、それぞれの漢字をくわしく見ていきます。

締めるしめる

締めるは、「しめる」の中でもっとも用例が広い字です。ゆるんでいるものをかたく固定する・引き締める・締結するなど、物理的に締め固める動作から、気持ちや経営などを引き締める抽象的な意味まで幅広く使われます。漢字「締」には「しめる」「むすぶ」「くくる」の意味があり、「締結」「締切」「取り締まり」「引き締め」などの熟語からも、その性格がうかがえます。

主な意味と用法

  • ゆるみなくかたく固定する:ネクタイを締める/帯を締める/ネジを締める/ボルトを締める/蛇口を締める
  • 引き締める・緊張させる:気を締める/身を締める/気持ちを締める/財布の紐を締める
  • 締め括る・締め切る:期限を締める/締め切りを締める/帳簿を締める/月を締める
  • 取り締まる・統制する:規律を締める/場を締める
  • 合計をまとめる:〆て(締めて)いくらになる

例文

  • 面接に備えて、ネクタイをきちんと締め直した。
  • 月末に帳簿を締めて、売上を確認する。
  • 失敗を繰り返さないよう、気を引き締めて取り組んだ。

閉めるしめる

閉めるは、開いている状態のものを閉じた状態にする場合に使う字です。漢字「閉」には「とじる」「ふさぐ」の意味があり、「閉鎖」「閉幕」「閉店」「密閉」などの熟語からも、その性格がうかがえます。ドア・窓・戸・ふたなど、開閉するものを閉じた状態にするというのが基本の意味です。「締める」と異なり、「固定する」「引き締める」というニュアンスはなく、あくまで開口部を塞ぐ・閉じる動作です。

主な意味と用法

  • ドア・扉・戸を閉じる:ドアを閉める/引き戸を閉める/玄関を閉める
  • 窓・雨戸を閉じる:窓を閉める/雨戸を閉める/カーテンを閉める
  • 店・施設の営業を終える:店を閉める/店舗を閉める
  • ふた・口などを塞ぐ:瓶の口を閉める/箱を閉める

例文

  • 外出前に、すべての窓と玄関のドアをしっかり閉めた。
  • 夜になったので、シャッターを下ろして店を閉めた。
  • 冷気が入らないよう、廊下に続く扉を静かに閉めた。

ご注意「閉める」はドアや窓など開閉するものを閉じる字です。「閉める」は「開ける」の対義語として使われます。一方「締める」の対義語は「緩める」や「解く」にあたります。対義語を考えると使い分けが整理しやすくなります。

絞めるしめる

絞めるは、首・喉などをきつく圧迫する・息を詰まらせるほど強く締め付ける場合に使う字です。漢字「絞」には「しめる」「しぼる」「ねじる」の意味があり、「絞殺」「絞首」などの熟語からも、その性格がうかがえます。三つの「しめる」の中では使われる場面がもっとも限定的で、首・喉・えりなどを強く締め付ける身体的・物理的な圧迫に限って使われます。

主な意味と用法

  • 首・喉をきつく圧迫する:首を絞める/喉を絞める
  • えり・衿などを強く締め付ける:えりを絞める
  • (比喩的に)息が詰まるほど追い詰める:首根っこを絞める

例文

  • 推理小説の犯人は、被害者の首を絞めて命を奪った。
  • 蛇が獲物の首を絞めるようにとぐろを巻いた。
  • タートルネックが高すぎて、喉を絞めるように感じる。

ご注意「絞める」は首・喉などへの強い圧迫という限定された場面に使われる字です。「絞殺」「絞首刑」の「絞」と結びつけて覚えると判断しやすくなります。「ネクタイを絞める」「ドアを絞める」とは書きません。これらはそれぞれ「締める」「閉める」を使います。

迷いやすいケース

「しめる」の使い分けで、特に判断に迷いやすいケースを取り上げます。

「締める」と「閉める」の使い分け

もっとも混同しやすいのが「締める」と「閉める」です。大まかに言えば、ゆるみをなくしかたく固定する動作なら「締める」、開いているものを閉じた状態にするなら「閉める」という区別です。対義語を手がかりにすると整理しやすくなります。

場面 使う漢字 対義語 例
ゆるみをなくす・かたく固定する 締める 緩める・解く ネジを締める
帯を締める
開口部を閉じた状態にする 閉める 開ける ドアを閉める
窓を閉める

「蛇口をしめる」は「締める」か「閉める」か

「蛇口をしめる」は「締める」が適切です。蛇口はひねって水流を止める構造で、「開閉する扉や窓」とは異なります。水が出ないようにかたくひねる動作は、ゆるみをなくすという「締める」のイメージに近く、「締結」「引き締め」の「締」を使います。ただし「蛇口を閉める」と書く例も見られ、誤りとは言い切れませんが、文化庁の使い分け例では「締める」が示されています。

「店をしめる」は「閉める」か「締める」か

「今日は店をしめる」のようにその日の営業を終えて閉店する場合は「閉める」を使います。「閉店」「閉鎖」の「閉」と結びつけると覚えやすくなります。一方、「月末に帳簿をしめる」「今月の売上をしめる」のように集計・締め切りの意味で使う場合は「締める」です。「締め切り」「締め日」の「締」と対応しています。

表現 意味 使う漢字
店を閉める 営業を終えて扉を閉じる 閉店・閉鎖の「閉」
帳簿を締める 集計を締め切る・まとめる 締め切り・締め日の「締」

「気をしめる」は「締める」

「気を引き締める」「心を締める」のように気持ちや態度を緊張させる・引き締める意味で使う場合は、「締める」を使います。これは「引き締め」「気の緩み」という表現とも対応しており、「ゆるみをなくす」という「締める」の基本義の延長です。「気を閉める」とは書きません。

「財布の紐をしめる」は「締める」

「財布の紐を締める」は節約・倹約するという慣用的な表現です。この場合も「ゆるみをなくして固定する」という「締める」の意味が基本になっており、「閉める」は使いません。「紐を締める(ゆるめない)」というイメージがそのまま「無駄遣いをしない」という比喩に転じた表現です。

「えりをしめる」は「締める」か「絞める」か

「えり(衿・襟)をしめる」は、衿をきちんと整えてかたく固定する意味なら「締める」、首元をきつく締め付けて苦しくする意味なら「絞める」になります。日常的な「えりをしめる(整える)」の意味では「締める」が使われます。「絞める」は苦しいほど強く圧迫するニュアンスのある字です。

対応する自動詞「しまる」も同じ書き分け

「しめる」の対応する自動詞「しまる」も、同じ書き分けになります。

意味 他動詞 自動詞 例文
かたく固定される 締める 締まる ネジが締まる
気が締まる
開口部が閉じる 閉める 閉まる ドアが閉まる
店が閉まる

補足このページの使い分けは、文化庁「異字同訓」の漢字の使い分け例を参考にした標準的な目安です。「しめる」は、まずそれぞれの字を含む熟語(締結・引き締め/閉鎖・閉幕/絞殺・絞首)を思い浮かべ、「ゆるみをなくす=締」「開口部を閉じる=閉」「首などを圧迫する=絞」と対応させると整理しやすくなります。また、対義語(締める↔緩める、閉める↔開ける)を手がかりにする方法も有効です。

■ まとめ
「しめる」と読む漢字には、締める・閉める・絞めるの三つがあります。締めるはゆるみなくかたく固定する・引き締める字(締結・引き締め)、閉めるは開いているものを閉じた状態にする字(閉鎖・閉幕)、絞めるは首・喉などをきつく圧迫する字(絞殺・絞首)です。
「締める」と「閉める」の区別は、対義語を手がかりにするのが有効で、「緩める・解く」の反対なら「締める」、「開ける」の反対なら「閉める」と覚えると書き分けに迷う場面が大きく減ります。他の同訓異字については同訓異字(異字同訓)とはのページに一覧があります。

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